大いなる岩の顔(The Great Stone Face)あらすじ

『大いなる岩の顔』のあらすじ

The Great Stone Face/Nathaniel Hawthorne

高い山々に囲まれた広くて大きい谷間に数千人の人々が住んでいました。数マイル離れたところにある山腹の切り立った断崖には、人間の顔に見える巨大な岩がありました。昔からの云い伝えによれば、いつの日かこの谷間から大いなる岩とそっくりの顔をした立派な人物が生まれるというのです。
アーネスト(Ernest)という少年は母親からその云い伝えを聞き、長生きしてどうしてもその人に会ってみたいと思いました。ちょうどその頃、この谷間出身で商人として成功した大金持ち生まれ故郷に帰ってくるという知らせが届きました。ギャザーゴールド(Gathergold[金貨集め])という名前の人で、大いなる岩にそっくりの顔をしているという噂が広まりました。その人が馬車に乗ってやって来た時、人々は大いなる岩の顔にそっくりだと叫びました。しかし、その時、道端にいたこじきの親子が慈悲を求めると、彼は銀貨を二、三枚地面に投げつけただけでした。アーネスト少年は悲しい気持ちで大いなる岩を眺めますが、その顔は「きっとあの人は来るさ!心配するな!」と言っているように感じられました。

アーネストが青年になった時、この谷間出身であだ名がブラッドゥン・サンダー(Blood-and-Thunder[流血将軍])という有名な将軍が引退して故郷に戻って来ることになりました。人々は晩餐会を開いて歓迎し、彼の顔が大いなる岩の顔に生き写しだと言うのですが、アーネストはどうしても納得できませんでした。

数年部、アーネストは中年になり、ある程度世間に名を知られるようになっていました。その頃、この谷間出身の政治家で、大いなる岩の顔に似ているということからオールド・ストーニー・フィズ(Old Storny Phiz[石面おじさん])というあだ名のついた人が、大統領候補に選出されました。この政治家が選挙前に故郷訪問にやって来るのですが、人々が騎馬隊の出迎えを受け四輪馬車に乗ったその人を見てそっくりだと言う中で、アーネストは似ているようだがこの人ではないと思うのだった。

それから幾年か経ち、アーネストは白髪の老人になっていました。素朴な一介の農夫でありながら、高邁(こうまい)な思想の持ち主として広く世界中に知られ、多くの人が話をしにやって来ました。ある日、この谷間出身の詩人がアーネストを訪ねることになりました。アーネストは天才的なこの詩人の詩を読んだ時に魂が慄える思いがしたので、この人かもしれないと期待していたのですが、実際に会ってみると云い伝えの人とは違うことが分かりました。

日没時、アーネストは戸外に集まった近隣の人たちに話をすることになっていました。アーネストが語り始めると、彼の言葉は思想と調和して力強く響き、みんなの心に染み通っていきました。遠くには、黄金色の夕日の中に大いなる岩の顔が見え、その周りには白い雲が棚引いていて、アーネストの眉間に懸かる白髪に似ていました。大いなる岩の顔は慈悲に溢れていました。この瞬間、言葉を口に出そうとしたアーネストの顔に浮かんだ表情の優しさに感動して、詩人は思わず両手を挙げて叫びます。

 

“Behold! Behold! Ernest is himself the likeness of the Great Stone Face!”
(「見ろ!見ろ!かの大いなる岩の顔とはアーネストその人ではないか!」)

 

誰もが詩人の言うことは正しいと思いました。こうして予言は叶えられたのです。


コメント (1件)

  1. 感動的なストーリーですね。
    まさに予言を成就した人。伝説の主人公!

  2. 待っていた人が、その人になり、自分を通してその人に出会えたんですね。
    本当に素敵な話です。

  3. 運命的な出会い。
    全て神様が会わせてくださったんですね☆

  4. 富澤た〜り〜隆信

    英文で読んでいます。まだ将軍の晩餐会のところです。納得がいかないので検索したら、こちらのあらすじと出会いました。二人目の将軍の登場で、あれ?っと感じたので、予想した結末を知ることができてとても満足しました。続きを読むのが楽しみになりました。本当にありがとうございました。

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